そのゴミ、正しく分類できてますか?マニフェスト作成に役立つ産業廃棄物の種類ガイド

「このゴミ、何に分類される?」産廃の種類を正しく知ることが、適正処理の第一歩

現場から出てきた多種多様な廃棄物を前に、「この山積みのゴミ、一体どうやって分類すればいいんだ…」と頭を悩ませた経験はないでしょうか。産業廃棄物の種類は法律で細かく定められており、その分類は専門家でなければ難しいと感じるのも当然のことです。


しかし、この最初のステップである「分類」を正確に行うことは、その後のすべての処理プロセスにおいて、非常に重要な意味を持ちます。


例えば、処理業者に廃棄物の処理を委託する際に交わす契約書や、廃棄物が正しく処理されたかを証明する管理伝票「マニフェスト」には、廃棄物の種類を正確に記載することが法律で義務付けられています。もし、ここでの分類を間違えてしまうと、契約内容と異なる廃棄物を引き渡したことになったり、最悪の場合、法律違反を問われたりする可能性もゼロではありません。


正しい分類は、適正な処理方法を選び、法令を守るための大前提なのです。この記事では、複雑に見える産業廃棄物の種類を、できるだけ分かりやすく、皆様の日常業務に役立つ形で整理していきます。あなたの会社の「これって何に分類されるの?」という疑問を解決する、手助けとなれば幸いです。




まずは全体像をチェック!法律で定められた産業廃棄物20種類

産業廃棄物の種類を理解するための最初のステップは、まずその全体像を大まかに把握することです。法律では、事業活動から出る産業廃棄物は、全部で20種類に分類されています。このリストを知っておくだけでも、業者とのやり取りや書類作成がスムーズになるはずです。


あらゆる事業で出るものと、特定の事業で出るもの

この20種類は、実は大きく2つのグループに分けることができます。

一つは、あらゆる事業活動で発生する可能性のある12種類の廃棄物です。例えば、機械の油(廃油)や、製品の梱包材(廃プラスチック類)、壊れた金属製の棚(金属くず)、ガラスの破片(ガラスくず)などがこれにあたります。


もう一つは、建設業や製造業、印刷業といった、特定の事業活動から出た場合にのみ産業廃棄物として扱われる8種類の廃棄物です。代表的なものに、紙くず、木くず、繊維くずなどがあります。例えば、同じ「木くず」でも、建設現場から出れば産業廃棄物ですが、一般的なオフィスから出た木製の棚などは一般廃棄物(粗大ごみ)として扱われることが多いのは、この分類に基づいています。



産業廃棄物 全20種類リスト

以下が、法律で定められた全20種類のリストです。すべてを一度に暗記する必要はありません。「こんな種類があるんだな」と、まずは全体を眺めてみてください。



【あらゆる事業活動に伴うもの(12種類)】

  • 燃え殻
  • 汚泥
  • 廃油
  • 廃酸
  • 廃アルカリ
  • 廃プラスチック類
  • ゴムくず
  • 金属くず
  • ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず
  • 鉱さい
  • がれき類
  • ばいじん



【特定の事業活動に伴うもの(8種類)】

  • 紙くず
  • 木くず
  • 繊維くず
  • 動植物性残さ
  • 動物系固形不要物
  • 動物のふん尿
  • 動物の死体
  • 以上の産業廃棄物を処分するために処理したもので、上記の産業廃棄物に該当しないもの


次のセクションでは、このリストをより身近な「業種」という切り口で見ていきましょう。




【本編】あなたの業種ではどれ?業種別・よくある産廃ガイド

20種類のリストをただ眺めていても、自社の業務と具体的に結びつけるのは難しいかもしれません。そこで、ここでは代表的な業種ごとに、どのような産業廃棄物がよく排出されるのか、具体的な例を挙げながら分かりやすく解説します。ご自身の業種に当てはめて読み進めてみてください。



1. 建設業・解体工事業

最も多くの種類の産業廃棄物が出るといっても過言ではないのが建設・解体業です。建物の新築やリフォーム、解体工事の現場では、実に様々な廃棄物が発生します。


がれき類: コンクリートの破片やアスファルトなど


木くず: 解体で出た木材や、梱包に使われていた木製パレットなど


金属くず: 鉄骨や鉄筋、アルミサッシ、足場など


ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず: 窓ガラスの破片や衛生陶器(便器など)


廃プラスチック類: 塩ビ管の破片や、資材の養生シートなど



2. 製造業(工場など)

製造する製品によって排出されるものは多岐にわたりますが、多くの工場で共通して出やすいものがあります。


金属くず: 金属部品の加工で出る削りくずや、金型の廃材など


廃油: 機械のメンテナンスで交換した潤滑油や、洗浄油など


廃プラスチック類: 製品の試作品や不良品、梱包材など


汚泥: 製造工程や排水処理施設から出る泥状のもの


廃酸・廃アルカリ: 金属の表面処理や洗浄工程で使われる薬品類



3. オフィス・小売業・飲食業

一見、産業廃棄物とはあまり縁がなさそうに思える業種ですが、事業活動に伴って様々なものが排出されます。


金属くず: 入れ替えで不要になったスチール製のデスク、椅子、棚など


廃プラスチック類: 大量の商品梱包材、壊れたプラスチック製のケースなど


ガラスくず: 店舗の改装で出たガラスの破片や、蛍光灯(水銀を含むものは特別な扱いが必要)


廃油: 飲食店から出る天ぷら油などの食用油


紙くず: 印刷業や出版業から出る裁断くずや売れ残りの書籍など(一般的なオフィスのコピー用紙は事業系一般廃棄物)




【逆引き辞典】これって何ゴミ?判断に迷う廃棄物Q&A

業種ごとのおおまかな分類が分かっても、いざ現場でごみを目の前にすると、「これはリストのどれに当てはまるんだろう?」と手が止まってしまうことは少なくありません。ここでは、担当者の方から特に質問が多く、判断に迷いやすい具体的な品目をQ&A形式で解説していきます。



Q. 事業所で使っていた「蛍光灯」や「乾電池」は?

オフィスや倉庫などで交換した蛍光灯や、事業で使用した乾電池は、その種類によって有害な水銀などが含まれているため、取り扱いには特別な注意が必要です。これらは2016年の法改正により「水銀使用製品産業廃棄物」として、通常の産業廃棄物とは明確に区別して処理することが義務付けられました。

割れないように専用の箱で保管し、委託する業者も、これらの廃棄物を取り扱える許可を持っているかを必ず確認しなければなりません。「ガラスくず」や「金属くず」とは分けて管理し、専門業者に相談するのが最も安全で確実な方法です。



Q. パソコンやコピー機などの「OA機器」は?

入れ替えで不要になったパソコンやプリンター、コピー機といったOA機器は、内部に金属やプラスチック、ガラスなどが複雑に組み合わさってできています。そのため、法律上は「金属くず」「廃プラスチック類」「ガラスくず」などが一体となった「混合廃棄物」として扱われます。

専門の処理業者に依頼すれば、人の手や機械で適切に解体し、素材ごとにリサイクルルートに乗せてくれます。無理に自社で分解しようとすると、怪我の原因になったり、有害物質が飛散したりする危険もあるため、基本的にはそのままの状態で引き渡すのが一般的です。



Q. 荷物の梱包に使われていた「発泡スチロール」や「緩衝材」は?

商品を保護するために使われる発泡スチロールや、プチプチとした気泡緩衝材、フィルムなどは、すべて「廃プラスチック類」に分類されます。特に小売業や倉庫業、製造業などでは毎日大量に発生することもあるでしょう。

非常に軽くてかさばるため、保管場所に困ることも多い廃棄物の一つです。しかし、これらはリサイクルに適した素材でもあります。量が多くて処理に困っている場合は、圧縮してリサイクル燃料(RPF)などに再利用するルートを持つ処理業者に相談してみることをお勧めします。




【専門家コラム】価値ある資源に変わる「金属くず」の分類

産業廃棄物の中には、適切な知識を持って正しく分類することで、「コストを払って捨てるごみ」から「価値のある資源」へと生まれ変わるものが数多く存在します。その代表格が、工場からオフィスまで、あらゆる事業所から発生する可能性のある「金属くず」です。



分別ひとつで、コストが利益に変わることも

例えば、同じ金属くずの山でも、鉄やアルミ、ステンレス、銅線などがごちゃ混ぜになった状態のままでは「混合金属(ミックスメタル)」として扱われ、リサイクル資源としての価値は低くなってしまいます。しかし、もしこれらを事前に素材ごとにきちんと分別することができれば、それぞれが価値の高いリサイクル原料となり、処理業者に高値で買い取ってもらえる可能性がぐっと高まります。

特に、銅や真鍮(しんちゅう)、砲金(ほうきん)といった非鉄金属は、鉄に比べて市場価値が高いため、たとえ少量でも丁寧により分けておくことで、会社全体の廃棄物処理コストを大きく削減できることがあります。



プロの目線で「価値」を見出す

とはいえ、現場で日々排出される金属くずの種類を、すべて正確に見分けるのは簡単なことではありません。錆びていたり、塗装されていたり、プラスチックなどの他の素材がくっついていたりすると、その価値を正しく判断するのは困難です。

私たち株式会社安藤は、金属リサイクルの専門家として、長年にわたり多種多様な金属くずを取り扱ってきました。一見すると価値がないように見える廃棄物の山の中からでも、私たちの専門的な知識と経験、そして最新の選別設備を駆使することで、お客様に還元できる「資源価値」を見出すことが私たちの強みです。どのように分別すれば価値が上がるのか、といった現場での具体的なご相談にも積極的にお応えしています。


もし、私たちの「挑戦を後押しする文化」に少しでも共感いただけたなら、私たちの価値観や働く環境について、より詳しく覗いてみませんか。

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まとめ:正しい分類が、環境と企業を守る。迷ったときは専門家へ

産業廃棄物の種類について、法律で定められた全体像から、業種別、そして具体的な品目まで、様々な角度から見てきました。


廃棄物の正しい分類は、マニフェストの適切な作成や法令遵守という観点から、企業にとって非常に重要な義務です。しかし、それだけではありません。丁寧な分別を心がけることは、廃棄されるはずだったものを価値ある資源として社会に循環させ、地球の限りある資源を守り、環境への負荷を減らすという、未来に向けた大切な活動でもあるのです。


日々の忙しい業務の中で、排出されるすべての廃棄物を完璧に分類し続けるのは、決して簡単なことではないかもしれません。もし少しでも「これは何だろう?」と分類に迷ったり、判断に不安を感じたりしたときは、決して自己判断で進めないでください。


そんなときこそ、私たちのような廃棄物処理とリサイクルの専門家を頼っていただければと思います。正しい知識を持つプロに相談することが、結果的に企業のコンプライアンスを守り、より良い環境を未来に残していくための、最も確実で安全な方法です。


この記事が、あなたの次の一歩を考えるきっかけになれば幸いです。

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