倉庫の奥に、何年も動いていない金型が積まれている。棚を占有し、フォークリフトの動線も塞いでいる。整理したいが、どれが自社のもので、どれが取引先から預かっているものかがはっきりしない。製造の現場でよく起きる状況です。
金型は金属スクラップとして買取の対象になる可能性があります。ただし、その前に確認しなければならないのが所有者と処分権限です。自社の敷地に置いてあるという事実だけでは、処分してよいことにはなりません。承認を得たうえで、材質、数量、重量、付着物、搬出条件を整理して相談する。この順序を踏むことが、あとから問題にならない進め方です。この記事では、所有権の確認から処分ルートの選び方、買取相談の準備、搬出条件、記録と機密情報の扱いまでを順に説明します。
まず所有者と処分権限を確認する
出発点はここです。保管している金型が誰のものかによって、取れる選択肢がまったく変わります。
型取引の適正化推進協議会がまとめた考え方では、型の所有権の所在はあらかじめ書面化する必要があるとされています。裏を返せば、書面で明確になっていない金型が現場に残っているケースは珍しくない、ということでもあります。
確認する先は三つあります。取引先との契約書や覚書に型の所有権と保管に関する条項があるか。社内の固定資産台帳や在庫管理上、その金型がどう登録されているか。そして、処分の可否を判断できる社内の担当者は誰か。この三点が揃わないうちは、処分の話を進めないでください。
取引先の所有物である、あるいは所有関係がはっきりしない場合は、まず先方に照会するところから始まります。保管側の判断だけで処分できるものではありません。
金型の処分ルートは大きく5つ
所有関係と使用予定が整理できたら、次はどのルートで進めるかです。
保管を続ける、という選択も一つの結論です。再発注や補修部品の可能性が残っているなら、無理に処分する必要はありません。所有者へ返却する場合は、輸送手段と受け入れ側の準備を含めた調整になります。社内で再利用できるもの、部品として転用できるものがあれば、それも検討の対象です。
そのうえで、設備としての用途が終わったものについては、金属スクラップとして買取を相談する道と、産業廃棄物として処理する道に分かれます。
ここで押さえておきたいのが、廃棄物として処理する場合の責任です。環境省は、事業者は事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならないとしたうえで、処理を業者に委託した場合であっても排出事業者に処理責任があることに変わりはないと明記しています。委託して終わりではない、という前提で委託先を選ぶ必要があります。
当社は金属屑買売、スクラップ回収、産業廃棄物収集運搬業を事業として掲げています。取扱金属と持ち込み・引き取りの流れは金属スクラップ買取ページでご確認ください。
保管を続けるか処分するかを決める材料
「いつまで持っておくのか」が決まらないまま年数だけが過ぎる。金型の保管でもっとも多い状態だと思います。判断の材料を整理します。
型取引の適正化推進協議会の報告書には、実務の目安になる考え方が示されています。廃番となった製品の型については、発注側事業者が受注側事業者に廃棄指示を行い、廃棄に要する費用を支払うものとする。受注側事業者が廃棄を申請した場合、発注側事業者は速やかに型の廃棄の可否を決定して書面で通知するものとする。量産終了後も引き続き受注側事業者に型を保管させる場合は、保管に要する費用を支払うものとする。そして、遅くとも3年以内に定期的な協議・連絡を行うものとする、という内容です。
つまり、保管側から廃棄を申し出る道は制度上想定されているということです。「先方から言われていないから動けない」と考えている場合は、この点を確認してみてください。
保管費用の負担については、実際に是正の対象になった例もあります。公正取引委員会は令和8年7月8日、給湯器等の製造販売を行う事業者に対し、下請事業者41名に生じる計5,242個の金型の保管費用を負担することなく保管させていたとして、勧告を行いました。型の無償保管は、現に監視と執行の対象になっている論点です。
なお、取引の適正化に関する制度は令和7年10月に改正が行われており、法律や運用基準の名称も変わっています。個別の取引にどう適用されるかは、公正取引委員会の情報と、必要に応じて専門家への確認をおすすめします。当社が法的な判断を行うことはできません。社内のルールを整えたい場合は、経済産業省の委託事業として公開されている型管理運用マニュアルが参考になります。
金型が買取対象になる可能性を左右する条件
処分すると決まった金型について、買取の相談ができるかどうかを見ていきます。
まず材質です。金型と一口に言っても、本体の材質、ダイセットやプレートの構成、付属している部品によって内訳が変わります。すべてが同じ鋼材でできているわけではありません。次に数量と重量。一型あたりの重量と、まとめて何型出るかで、扱い方も段取りも変わります。
付着物も条件です。切削油、離型剤、樹脂の残り、ゴムや樹脂の部品、ボルトやシャフトなどの付属品。これらが付いたままだと、選別や取り外しの工程が必要になる場合があります。取り外せる範囲で分けておくと、その分の手間は減ります。
そして搬出条件です。金型は重量物のため、置き場所と搬出経路によっては、そもそも運び出す手段の確保が先になります。
当社は工場や解体工事現場などから発生する各種金属スクラップを回収・買取していますが、すべての金型に買取価格が付くわけではありません。状態と条件を確認したうえでの判断になります。
相談前に整理する種類・数量・寸法・重量・付着物
以下を分かる範囲で押さえておくと、対応の可否と方法の見当がつきます。
- 金型の種類(プレス用、射出成形用、ダイカスト用など)
- 型数(何型あるか)
- 一型あたりの概算寸法
- 一型あたりの概算重量、または全体の推定重量
- 付属部品の有無(ダイセット、シャフト、シリンダーなど)
- 油、樹脂、離型剤などの付着物
- 保管場所(屋内・屋外、階数、床の状態)
- 保管場所までの通路幅と高低差
- 敷地内に何トン車まで進入できるか
材質や正確な重量が分からなくても構いません。写真、型数、おおよその寸法、保管の様子が分かれば、そこから話を進められます。写真は、積んである全体が分かるものと、一型が分かるものの両方があると判断しやすくなります。
群馬県太田市でのプレス加工用金型の引取事例を見る。
群馬県太田市での引取事例と、搬出経路・車両の確認
当社は群馬県太田市で、自動車部品プレス加工業のお客様からプレス加工用金型を引き取りました。事例ページにも記載していますが、金型の管理保管はどうしても場所を占有してしまいがちなため、定期的な整理が必要になります。使っていない型が置き場を圧迫している状況は、多くの工場に共通するものだと思います。
搬出にあたって確認するのは、現場側の条件です。保管場所の床が荷重に耐えられるか、フォークリフトで動かせる位置にあるか、屋内から屋外へ出すまでの通路幅と高低差はどうか、敷地内のどこまで車両が入れるか、積み込みのスペースを確保できるか。これらによって必要な車両、機材、作業範囲が変わります。
当社は重機や車両を自社で保有し、コンテナも20台備えています。ユニック車もあり、ご希望があれば配車状況に応じて現地での計量もご相談いただけます。まとまった量が出る場合は、スタッフによる引き取りをご相談ください。
重量物をお客様側で分解したり移動したりする必要はありません。どこまでをこちらで行い、どこからを事前に準備していただくかは、現場の条件を確認したうえで決めていきます。保有している車両と重機の内容はこちらでご覧いただけます。
処分記録と機密情報の確認
搬出の段取りと並行して決めておきたいことが二つあります。
一つは記録です。社内の資産管理上、また所有者への報告上、どのような記録が必要かを先に整理してください。処分前後の写真が要るのか、計量の記録が要るのか、取引に関する書類はどの形式で必要なのか。ここは会社ごと、取引先ごとに要件が違います。有価物として売却する場合と、産業廃棄物として処理する場合とでは、必要な契約や書類も異なります。必要な書類と作業範囲は、相談の段階で確認して決めていきましょう。
もう一つは情報の扱いです。金型の形状や刻印が製品情報に直接関わる場合があります。すべての金型に営業秘密が含まれるわけではありませんが、該当する可能性がある場合は、社内および顧客の機密管理基準を確認したうえで、どこまでの取り扱いを求めるかを決めてください。これも処分の相談時に伝えていただく情報の一つです。
金型の処分でよくある質問
取引先から預かっている金型を処分できますか
保管しているという理由だけでは処分できません。所有者に照会し、承認を得たうえで進めることになります。契約書に型の所有権と保管に関する条項があるかを先に確認してください。
材質や重量が分からなくても相談できますか
相談していただけます。写真、型数、おおよその寸法、保管場所の状況が分かれば、そこから確認を進められます。ご自身で分解して中を見る必要はありません。
金型は必ず買い取ってもらえますか
材質、数量、重量、付着物、搬出条件によって変わるため、すべての金型に買取価格が付くわけではありません。現物と条件を確認したうえでのご相談になります。
廃棄証明やマニフェストは必ず必要ですか
取引の形態によって異なります。有価物として売却する場合と、産業廃棄物として処理する場合では必要な契約・書類が変わるため、どちらのルートになるかを整理したうえで、必要な書類を事前にご確認ください。環境省も、処理を委託した場合であっても排出事業者に処理責任があることに変わりはないとしています。
どの地域まで対応していますか
本社は群馬県太田市、栃木県足利市に営業所と資材置場があり、群馬県・栃木県を中心とした関東一円で対応しています。産業廃棄物収集運搬業許可の対象地域は群馬県、栃木県、埼玉県、東京都、茨城県を掲載していますが、品目や個別案件への対応可否は事前にご確認ください。
まとめ
金型の処分は、所有者と処分権限の確認から始まります。契約書と社内規程で所有関係を確かめ、処分を決められる担当者をはっきりさせる。ここを飛ばすと、あとで戻れなくなります。
そのうえで、保管を続ける、返却する、再利用する、金属スクラップとして買取を相談する、産業廃棄物として処理する、のどのルートで進めるかを決めていきます。量産終了後の使用予定や保管費用については、取引先との協議の枠組みが制度上示されているため、保管側から申し出る道もあります。
相談の段階では、所有者の承認、金型の写真、種類、数量、寸法、重量、付着物、保管場所、搬出経路を整理しておいてください。すべてが揃っていなくても、分かる範囲で構いません。
当社は太田市で100年以上にわたって金属スクラップを扱い、群馬県・栃木県を中心とした関東一円で回収に対応しています。
不要になった金型の買取・引き取りを相談する。

