9割が知らない判断基準|産業廃棄物と一般廃棄物の違いとは?間違えないための全知識

オフィスの大掃除やレイアウト変更、工場の片付けなどで出る大量の廃棄物を前に、「これって、どうやって捨てればいいんだろう?」と頭を抱えた経験はないでしょうか。家庭から出るごみとは分別ルールも異なり、その複雑さに担当者の方が悩んでしまうのも無理はありません。


しかし、この「どっちだろう?」という小さな疑問をそのままにしてしまうと、思いもよらない事態を引き起こす可能性があります。廃棄物の分別や処理の方法を一度間違えてしまうと、法律によって厳しい罰則が科せられることがあるのです。


「知らなかった」では済まされないのが、廃棄物処理の厳しい現実です。例えば、場合によっては企業の代表者や担当者個人にまで、懲役や高額な罰金が科せられるケースも存在します。これは決して他人事ではなく、日々の事業活動を行うすべての企業に起こりうるリスクと言えるでしょう。


会社の信頼を守り、安心して事業を続けていくためにも、まずは基本となる「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の違いを正しく理解することから始めてみませんか。




違いは「誰が排出したか」。法律が定める2つの廃棄物の定義

「産業廃棄物」と「一般廃棄物」。この二つを隔てる最もシンプルで、そして最も重要な基準は、「誰が、どのような活動で排出したか」という点にあります。言葉の響きから「工場から出るものが産業廃棄物」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。



一般廃棄物とは?

まず「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外のすべての廃棄物を指します。これはさらに二つに分けられます。一つは、私たちが普段の生活で出す「家庭系一般廃棄物」。そしてもう一つが、会社やお店、レストランなど、事業所から出るごみのうち、産業廃棄物に当てはまらない「事業系一般廃棄物」です。例えば、オフィスで出る一般的な紙ごみや、飲食店から出る残飯などがこれにあたります。



産業廃棄物とは?

一方の「産業廃棄物」とは、「事業活動に伴って生じた廃棄物」のうち、法律で明確に定められた20種類の品目のことを指します。

ここで重要なのは「事業活動に伴って」という部分です。これは、特定の業種に限った話ではありません。例えば、建設工事で出たコンクリートの破片(がれき類)はもちろん産業廃棄物ですが、小売店のバックヤードで出た商品の梱包材である段ボール(特定の業種から出た紙くず)や、オフィスで入れ替えたパソコンなども、その事業活動から出たものであれば産業廃棄物に該当する可能性があるのです。


このように、同じ「ごみ」であっても、家庭から出たのか、事業活動から出たのかによって、その扱いは全く異なります。この根本的な違いを理解することが、正しい分別への第一歩となります。




【実践編】あなたのゴミはどっち?プロが教える判断フロー

定義は理解できても、日々の業務で出るごみを前に「さて、これはどっちだろう?」と迷ってしまう場面は少なくありません。ここでは、担当者の方が特に判断に迷いやすい具体的なケースを挙げながら、どのように考えればよいのかを一緒に確認していきましょう。



Q. 従業員が休憩中に食べたお弁当の容器や飲み物のペットボトルは?

これは、多くの企業で判断に迷う代表的なケースです。社員食堂や個人が持ち込んだお弁当の容器、休憩中に飲んだペットボトルなどは、事業活動そのものではなく、従業員の個人的な消費活動から出たものと考えられます。そのため、これらは一般的に「事業系一般廃棄物」として扱われることがほとんどです。ただし、ごみの出し方は自治体によって細かいルールが定められているため、事業所のある市区町村の決まりを一度確認しておくとより安心です。



Q. オフィス移転で出た、壊れたパソコンや古いオフィス家具は?

事業で使っていたパソコンや周辺機器は、「資源有効利用促進法」という法律に基づき、メーカーによる回収・リサイクルが基本ルートとなります。一方、スチール製の机や椅子、棚といった金属製のオフィス家具は「金属くず」として産業廃棄物にあたります。注意したいのは木製の家具です。木製の家具は、建設業や木材・木製品製造業といった特定の業種から排出された場合に限り「木くず」として産業廃棄物になります。それ以外のオフィスなどから出た場合は「事業系一般廃棄物」の粗大ごみとして扱われるのが一般的です。このように、素材と、自社の業種をセットで考えることが正しい判断の鍵となります。



Q. 来客用に出したお茶のペットボトルや、イベントで配布した資料の残りは?

お客様へのおもてなしや、販促活動の一環として用意したものはどうでしょうか。これらは従業員の私的な消費とは異なり、企業の利益活動、つまり事業活動の一環として提供されたものです。そのため、来客用に出したペットボトルは「廃プラスチック類」、イベントで余ったパンフレット(紙の素材や業種による)は「紙くず」として、産業廃棄物に分類されると考えられます。一見すると同じごみでも、その背景にある「活動の目的」によって扱いが変わるのです。




違いを理解した後の「正しい捨て方」

ごみを正しく「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分けられたら、次はいよいよ「捨てる」段階に進みます。実は、この処理ルートも両者では全く異なり、それぞれに厳格なルールが定められています。ここを間違えてしまうと、せっかくの分別も意味がなくなってしまうため、しっかりと確認しておきましょう。



一般廃棄物は、市区町村のルールに従って

まず、オフィスや店舗から出る「事業系一般廃棄物」の処理は、その事業所がある市区町村の責任において行われます。そのため、自治体が定めるルールに従うのが基本です。

主な処理方法は二つあります。一つは、自治体が運営する清掃工場などの処理施設に自社で直接持ち込む方法。もう一つは、市区町村から許可を得た「一般廃棄物収集運搬業者」に回収を依頼する方法です。

注意点として、事業系の一般廃棄物は、家庭ごみと同じ集積所には出せません。必ず事業者自身の責任で処理する必要があります。どちらの方法で処理すべきか、どのような手続きが必要かは、自治体によって異なります。まずは事業所がある市区町村のウェブサイトを確認したり、環境担当の部署(清掃事務所など)に問い合わせたりして、正しい方法を確認することが大切です。



産業廃棄物は、都道府県が許可した専門業者へ

一方、産業廃棄物は、市区町村では収集・処理を行うことができません。これは必ず、都道府県や政令市などから「産業廃棄物処理業」の許可を得た専門の業者に委託する必要があります。

この許可には「収集運搬業」や「中間処理業」「最終処分業」といった種類があり、委託したい内容に応じた許可を持つ業者を正しく選ばなければなりません。

そして、ここで最も重要なのが、廃棄物を排出した企業(排出事業者)の責任です。委託先の業者が適正な許可を持っているかを確認し、契約を書面で交わし、廃棄物の種類や量を正確に伝える義務があります。万が一、委託した業者が不法投棄などの不正を行った場合、ごみを排出した企業側も「排出事業者責任」として厳しい罰則の対象となる可能性があるのです。業者選びは、会社の未来を守る上で非常に重要な判断と言えます。




【専門家コラム】金属くずや混合廃棄物はどう扱う?

廃棄物の中には、適切な処理をすれば価値ある資源に生まれ変わるものが少なくありません。特に、工場や建設現場、オフィスの移転などでよく出る「金属くず」はその代表例です。捨て方一つで、コストが大きく変わることもあります。



それは「ごみ」ではなく「資源」かもしれません

鉄やアルミ、ステンレスといった金属くずは、その状態や量によっては、処理費用を支払って捨てる「廃棄物」ではなく、専門業者に買い取ってもらえる「有価物」となる場合があります。これは企業にとって、処理コストを削減し、時には利益にも繋がる重要なポイントです。

買取になるか、廃棄物としての処理になるかの判断は、金属の種類や純度、サビや油、その他の付着物の有無など、専門的な知見がなければ難しいものです。「これは売れないだろう」とご自身で判断せず、まずは信頼できる専門業者に一度相談してみることをお勧めします。思わぬ価値が見つかるかもしれません。



分別が難しい「混合廃棄物」はプロにお任せ

実際の現場では、金属やプラスチック、木材、ガラスなどが複雑に混ざり合った、分別が困難な「混合廃棄物」が出てくることも多いでしょう。これらを無理に自分たちで細かく仕分けようとすると、従業員の方に大きな手間と時間がかかるだけでなく、分別の間違いが起こる原因にもなりかねません。

経験豊富な処理業者であれば、こうした混合廃棄物もまとめて受け入れ、専門の施設と技術で適切に選別することが可能です。リサイクルできるものと、廃棄物として正しく処理すべきものを正確に分け、環境への負荷を最小限に抑えながら、最も効率的な処理を行ってくれます。私たち株式会社安藤は、長年にわたり金属リサイクルの分野で専門性を培ってきました。単に廃棄物を処理するだけでなく、その中に含まれる資源価値を見出し、お客様の負担をできる限り軽減するご提案を得意としています。


もし、私たちの「挑戦を後押しする文化」に少しでも共感いただけたなら、私たちの価値観や働く環境について、より詳しく覗いてみませんか。

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まとめ:廃棄物の正しい理解が、企業の信頼を守る第一歩

今回は、少し複雑に感じられる産業廃棄物と一般廃棄物の違いについて、具体的な判断基準から正しい捨て方までを順番に見てきました。最後に、大切なポイントを改めて振り返ります。


一番の基本は「事業活動から出たごみかどうか」という視点を持つこと


判断に迷ったときは、自己判断せず自治体や専門家に必ず確認すること


産業廃棄物の処理は、許可を持つ信頼できる専門業者に正しく委託すること


これらの基本的なルールを守ることが、意図せず法律違反を犯してしまうリスクから会社を守り、社会的な信頼を維持していく上で不可欠です。


廃棄物の適正な処理は、時に面倒で手間のかかる業務に感じられるかもしれません。しかし、環境への配慮が企業の価値を測る大きな指標となっている現代において、これはすべての企業に求められる責任ある活動です。この記事を通して、廃棄物処理に関する皆様の疑問や不安が少しでも軽くなり、日々の業務に安心してお役立ていただけたなら、これほど嬉しいことはありません。


この記事が、あなたの次の一歩を考えるきっかけになれば幸いです。

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